イギリスで育った人として、私は非常に甘くて、おいしい「Satsuma(サツマ)」と呼ばれる温州みか んを食べることを懐かしく思い出します。当時は名前の由来がわかりませんでしたが、鹿児島に来てから、鹿児島県の前身であるあの 、、 薩摩が由来であることを初めて知りました。ご想像のとおり、私が温州みかんの発祥地である長島を視察しに行くと聞いた時、ワクワクしました。
長島は鹿児島県の西北部に位置している島でありながら、本土に道路でつながっているため、鹿児島市からは車で 2 時間もかかりません。長島にたどり着き、私はすぐに長島の澄み切った空気に気づきました。長島は鹿児島県の他の場所と同じく自然にあふれており、私はただそこに立ち止まり、清浄な空気を取り入れることで爽やかな気持ちになりました。
長島の古風で親しみやすい雰囲気にも驚きました。特に、ある道の駅の店員さんから暖かい歓迎を受けました。長島の道の駅にはあらゆる形や大きさの新鮮な柑橘類があり、すべて手頃な価格で販売されているので、本当に見逃せません!
日本マンダリンセンター
北へ向かって、私は最初の目的地まで進み続けました。日本マンダリンセンターは1993年に、みかん栽培の歴史や文化について学べる施設として開かれました。町の中心からは離れた場所にありますが、小道を辿っていくとオレンジ色の巨大なドーム型の屋根が見えてきます。間違いなく、日本マンダリンセンターです!
2022年4月に日本マンダリンセンターの指定管理者に指定された山上さんが迎えに来てくれました。山上さんによりますと近年来場者数が低迷していますが、日本マンダリンセンターへの関心を喚起し、いろんな人に施設の魅力を知ってもらうことを目標としています。
取り組みの一環として、10月から12月上旬まで新しく行われているみかん狩りは人気を誇ります。お客さんは日本マンダリンセンターを囲む温州みかん園を楽しみながら、自分の手でみかんを収穫することができます。これ以上の新鮮さはないでしょう。
施設に入るとまるで別世界のような空間が私を待っていました。ブラウン管のテレビ、小さな電球で光るレトロな世界地図など、1993 年にオープンした頃からほとんど何も変わっていないため、博物館はめったに見られない、魅力的な古き良き雰囲気を醸し出しています。なお、展示内容はみかん栽培の歴史、みかんの様々な品種、みかんの収穫や加工など、多岐にわたります。
博物館のレトロな雰囲気は、施設の入り口に設置してあるみかん型のロボットの「マンダリンちゃん」によって具体化されています。スイッチ一つでマンダリンちゃんの顔が上昇し、中に隠れていたフルーツや野菜型のロボットが現れます。そして、この人形はロボットらしく、ぎこちない(あと、私にとって非常に懐かしい)動きで踊ってくれます。子供たちに大人気でありながら、このような使用中のアニマトロニクスは結構珍しいですし、80・90年代のポップカルチャーが好きな人にとって見逃せません!
個人的には、樹齢100年を超える温州みかん2代目の古木が展示されている2階展示室が特に印象的でした。木の隣には数十年前に手書きで作成されたみかん栽培日誌を含む、情報の宝庫があります。専門的な知識が全くない私でも、その本を読みふけりたいです…
博物館のレトロな雰囲気とは違い、上層階は近代的でオシャレなコワーキングスペースに転換されており、地元の学生向けの塾として使える空間もあります。温州みかん園を一望する魅力的な部屋で、これ以上はないほど、最高のワーケーション先です。山上さんは日本マンダリンセンターが柑橘類生産者や研究者の国際的なコミュニティ、そして様々な業界で活躍している人々の交流拠点であってほしいと説明してくれました。
過去に柑橘類を世界に広げてくれた大事な場所の一つでもある長島は、その歴史を踏まえて、今日も世界に向けて重要な役割を果たしています。
長島大陸市場食堂
温州みかん園を通り、日本マンダリンセンターを後にしました。地元料理をどうしても味わってみたかったので、長島大陸市場食堂へと急ぎました。長島大陸市場食堂は海からわずか15メートルしか離れておらず、打ち寄せる波やけたたましく鳴き交わすカモメの音を聞くだけでも、最高に新鮮な料理が提供されているとわかりました。
長島町は日本一のブリ産地だと私は知っており、一番人気なメニュー、「鰤王定食」を選びました。ブリを様々な形で食べられるだけではなく、みかん味のデザートもあったので大満足でした!
遣唐使船漂着の地の記念碑
お腹がいっぱいになったところで食堂を後にし、今回の長島視察での最後の目的地へと向かいました。遣唐使船漂着の地は長島の歴史的・国際的なつながりを連想させる場所です。
そこに記念碑が建てられており、唐の知識の収集を目的とした使命で8世紀に日本から唐に派遣された船の漂着の場所を記念しています。777年に第12回遣唐使で船が4隻唐へ派遣されましたが、778年に帰国の途中で遭難しました。船の中から第1船が長島のこの場所に漂着しました。
記念碑自体はもちろん印象的で厳かさを帯びていますが、後ろにある質素な小石のビーチも見逃せません。私は波打ち際に立ち止まり、中国の方を向きました。この場所は778年のあの日にどんな様子だったか、想像してみました。
終わりに
鹿児島本土へ向かって黒之瀬戸大橋を渡りながら、今回の短期間だけの長島視察を振り返ります。
長島の醍醐味は「コントラスト」を感じることです。日本は全国各地に歴史的な重要性を有する場所がありますが、その大部分は著名で壮大です。でも、長島は違います。歴史的に重要な場所でありつつ、謙虚で古風な町です。変わらぬ本格的な雰囲気に浸っています。
私は新鮮な温州みかんをかばんから取り出し、手に持ちました。やはりこのみかんは何年も前にイギリスで食べた「Satsuma」よりも甘い味がする気がします。
地図
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