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南大隅・本土最南端の世界(鹿児島県国際交流員のコラム )

鹿児島県国際交流員の方による、「日本本土最南端の世界」の視察体験談をご紹介します。
ライター:鹿児島県国際交流員 ウォン・イミンさん(シンガポール出身)

皆さんは、日本の本土最南端がどんな感じかを考えたことありますか?南大隅町は温暖な気候に恵まれ、三方を囲む海や山々など、豊かな自然があふれる町です。亜熱帯の湿潤な気候で育まれた木々が盛んで、日本の他の地域と比べて全く違う雰囲気を持っている場所です。

その日、朝一番で大隅半島へ向かい、南大隅役場のみなさんに温かく歓迎していただきました。そこからは南大隅役場の主査と主事とともに最初の目的地、南蛮船係留の大クスへ!

南蛮船係留の大クス

この樹齢約千年を超す大クスは雄川の隣に立っており、町民の誇りの一つでもあります。 500年ほど前、この辺りは天然の良港であり、唐や琉球、東南アジアなどからの交易船がよく来ていました。その際、このクスノキ(大クス)に舫綱を繋いだのだと言われており、樹名の由来となったようです。

500年経った現在、周りの風景は大きく変わりました。交易船ではなく、代わりにドラゴンボートが走ります。毎年の「ドラゴンボートフェスティバル」では、雄川の河口380メートルを競います。しかし、樹齢千年を超す南蛮船係留の大クスは変わらずにその町を見守っています。

佐多旧薬園

そのあと、近くの佐多旧薬園にも行きまし た。旧島津藩の薬園跡で、いろいろな珍しい植物・薬草が栽培された場所です。

薬園にはリュウガン、レイシ、オオバゴムノキ、アカテツ、ガジュマル等があって、全部日本ではあまり見ない植物です。私たちが行ったときはちょうどレイシの時期だったので、真っ赤なレイシをあちこちに見ることができました。

佐多岬の入口

次は本番の佐多岬へ!片側に青い海が輝いて、ビロウやソテツなどの熱帯植物が並んでいる道を通りました。熱帯の国から来た私にとっては意外な懐かしい感じがしました。

佐多岬の入口に着いた時、ガイドをしてくれる南大隅町観光協会の専務と南大隅町の元職員の方に温かい歓迎を受けました。

入口から短いトンネルを通り、紺碧の海と豪華な景色を望める爽やかなオープンエリアに着きました。鮮やかな熱帯植物に囲まれた歩道に沿って、田中さんの案内を聞きながら、前方にある熱帯林へ進みました。

御崎神社

そこには708年創立で本土最南端の神社、御崎神社がありました。御崎神社は縁結びの神としても人気が高いらしいです。

ソテツなどの熱帯植物に包まれた赤い屋根の社の姿は、すごく新鮮な南国感が感じられます。

佐多岬展望台

熱帯林を通って、すぐ目の前に佐多岬展望台がありました。一番上の階に登ると、息をのむような絶好のパノラマが広がりました。ここでは太陽の光にきらめく青く美しい太平洋、東シナ海と錦江湾があって、天気が良ければ屋久島や種子島まで望むこともできる絶景です。

残念ながらこの日はちょっと曇っており、屋久島や種子島までは見えませんでしたが、その壮大な景色、柔らかな海風と落ち着く波音で心が癒やされました。

佐多岬灯台

亜熱帯に覆われて日本本土最南端の岬にある佐多岬展望台で、眼下に一基の灯台が輝いています。これは、日本の「灯台の父」と呼ばれる外国人リチャード・ヘンリー・ブラントンが明治4年に築いた佐多岬灯台です。これは明治時代、日本の沿岸をより安全にするための計画の一部でした。

ブラントン氏が築いた26基の灯台のうち、佐多岬灯台は唯一の沖合の灯台です。その灯台は佐多岬からさらに50メートル先に浮かぶ大輪島にあります。初代の灯台は昭和20年に空襲により破壊され、現在の灯台は昭和25年に再建された2代目です。「日本の灯台50選」にも選定されています。

本土最南端の岬にある一基の灯台… その孤独な白い姿を見ながら、灯台守さんはどんな気持ちでここにいたのでしょうか!

また、不思議な偶然ですが、数年前に日本本土最北端の北海道の宗谷岬へ行く機会がありました。今回、最南端の佐多岬に経った私には、その二か所の同じ点と異なる点がはっきり感じられました。

亜熱帯の暑さに包まれて緑豊かな熱帯林が溢れる最南端、と、亜寒帯の冷たい風が吹き、広大な土地やなだらかな丘陵が広がる最北端。異なる点はありますが、両方とも日本の中心からとても離れた場所で、独特な荒涼感が漂っていると思います。

佐多岬灯台守の官舎跡地

素敵な絶景を充分に楽しんだあとはまた熱帯林に入り、次の場所に向かいました。豊かな緑の中にある石段を通って、佐多岬灯台守の官舎跡地に着きました。かつて、灯台を管理していた役人が住んだ跡です。

植物が生い茂り、独特な南国の雰囲気を持っている歴史的な建物です。現在では外壁の一部しか残っていませんが、文化的・歴史的に重要な存在です。

きれいな海と緑豊かな環境に包まれた場所ですが、人里から遠く離れたこの場所は灯台と同じような孤独感を感じました。灯台守が家族と一緒にここで生活していた時、どんな思いだったのか想像が膨らみます!

そしてそろそろ時間になりました。入口に戻り、専務と担当の方にお礼を言いお別れしました。
 

雄川の滝

最後に行く場所は自然豊かな環境にある人気スポット、雄川上流にある雄川の滝です。雄川渓谷の遊歩道を歩くと、清流の音や鳥のさえずりなど、心身ともに癒される感じがします。

雄川の滝に着くと、壮大な景色が目に入りました。その日の滝は、通常の穏やかな滝ではなく、大量の水が流れる轟音の滝でした。その上、水と光の完璧な組み合わせのおかげで、素敵な虹も見ることができました!

終わりに

あっという間に、帰る時間となりました。今回の旅では、とても貴重な経験をさせていただきました。

終わりに、同行いただいた南大隅町や南大隅町観光協会の方々、国際交流協会の同僚たちに心よりお礼を申し上げます。本当にありがとうございました!

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